THE BRAND

我々の歴史

ステルベルの物語は偶然から始まった。

ステリオは買ったばかりの自転車が気に入らなかった。なぜなら雑用にすら使えないと語っていた。

ステリオ・ベレッティ – 70年代後半

彼の作業場には分厚くて重いが目的に適したスチールパイプがあり、TIG溶接機は現場で常に稼働していた。旋盤は定期的に使用されており、金属加工ではステリオと彼の父アンテノーレの技術が有名であった。彼らが自転車を作ろうと決めるには、1日もかからなかった。

ミラノ近郊のロダノにある工房では、1973年に最初の「テライオ・ベレッティ」を誕生しました。完成した初代べレッティのプロトタイプが最初のステルベルになるまで約2年かかりました。当時ステリオは機械エンジニアであり、仕事が終わった後のわずかな自由時間でしか彼の夢の自転車を作ることが出来なかった。

ブレヴェット・ステルベル・フロント

当時、自転車のフレーム用スチールパイプといえば、ラグ付きの接合を考慮されて作られていました。ステリオが選択したTIG溶接では、ラグを使わずにパイプと接合技術を改良し、ゼロから特別なシャーシを作り出しました。ユニークなソリューションが開発され、ステルベルのフォーククラウンがその一例となりました。工房では、新しい工法として、TIG(タングステン不活性ガス)溶接が生まれました。

これは、タングステン電極を使用して溶接を行うプロセスで、これまでロードバイクの世界では誰もやったことがありませんでした。しかし航空業界での経験のおかげで、ロードバイクの業界においてステリオは革新者であり、ステリオが作り出した最終的なプロトタイプは「インテグラーレ」と呼ばています。このフレームはユニークなデザインと、市場に出回っているすべてのものとは一線を画すモダンで革新的な要素を強調するものでした。ラグがないため、フレームはすべてが一体化しているかのように見えました。その統合された特徴と特殊性は、1975年7月10日にイタリア特許商標庁に提出された8ページの文書に記載されています。

ブレヴェット・ステルベル 1975年

同年、ステルベルブランドは初めて国際的に活躍しました。70年代初頭、ポーランドの自転車チームのメカニックはイタリア人で、彼はベレッティの工房の近くに住んでいました。彼は、革新的なフレームビルダーが新しい方法を試しているという噂を聞いていましたが、当時はラグのない自転車がレースの厳しさに耐えられるほどの強度を持っているとは考えられませんでした。しかし、この話には非常に興味をそそられるものがあったので、メカニックはステリオにポーランドチームのためにフレームの製作を依頼した。出来上がったフレームは画期的なものでした。使用されたチューブは、重量を最小限に抑えるために可能な限り細く、要所には強度と剛性を確保するための特殊な補強材が挿入されていました。1975年8月27日、ベルギーで開催されたUCIロード世界選手権のチームタイムトライアルで、ポーランド代表は、切望のレインボージャージを獲得しました。この成功は、ステリオが自身の生涯をフレーム製作に捧げるために十分なものとなりました。

クラシックダイナミックモデル

年月を経てブランドは拡大していき、ロダノの工房では様々な実験を続け、新たなことに挑戦し、革新の伝統を受け継いできました。そしてステルベルとしての美学が洗練され、独自のフォーククラウンの開発、ステンレスフレーム構造への着手は、ステリオのために特別にデザインされたカスタムチューブの導入が始まりました。そして1977年に、業界でも早く垂直方向のリアドロップアウトをいち早く導入した企業でもあります。

ステルベル プンタデルエスト

70年代後半から80年代にかけて、ステルベルは、特大または非円形の型破りなサイズと形状のチューブを使用し、1985年のミラノモーターサイクルショーで自転車業界の注目を集めた象徴的なプンタデルエストのような特別なプロジェクトで自転車界を驚かせ、信頼を築いてきました。

その頃には、多くのブランドが製造工程でTIG溶接の使用を開始するようになりました。ステルベルの生産体制は着実と進み、生産が最盛期を迎えたときには、工房には多くの人が雇用されていました。そこではアルミニウムとMTBフレームの実験も行われました。

ですが悲しいことに、個人的な問題で1990年にステリオはステルベルの扉を閉めることを余儀なくされ、工房からは、2013年まで何の音沙汰もありませんでした。ですが、その年の9月に復活の話が持ち上がりました。1973年に基礎が築かれ、イタリアで最も優れたフレーム製造ブランドの1つが、かつての栄光を取り戻すための作業が開始されました。Cicli CorsaとStelio Bellettiのコラボレーションにより、2021年のステルベルシリーズを新世代のサイクリストにお届けできることを誇りに思います。

ステリオ・べレッティ

ステリオ・ベレッティは、フレームを作ることに関して、特別な才能を持っていました。それが内燃機関であっても、サイクリストの足であっても、ほとんど違いはありませんでした。どのタイプのフレームにも独自の課題があり、最大のパフォーマンスを発揮することは簡単なことではありません。しかし、ステリオと彼の父アンテノーレにとって、製作への困難は、航空機、オートバイ、サイクリングなどの分野で、自分たちが作ったものが何であっても優れたものでなければと考え、彼らを奮い立たせていました。ベレッティ家の歴史を調べれば、彼らの天才的なエンジニアリングを称賛する記事に出くわすのはそう難しくはないでしょう。例えば、アンテノーレ・べレッティが胴体を開発した小型機P19 Scriccioloは、20年以上にわたってAero Club d’Italiaのための練習機として選ばれ “ハンドリングの傑作 “と表現されています。1967年、ベレッティは当時最もパワフルなレーシングバイクであったホンダ500GPのシャシーの改良を担当しました。伝説のグランプリライダーであるマイク・ヘイルウッドは、彼のバイクのハンドリングを改善するために工房に訪れ依頼を出してきました。そしてわずか16日間でベレッティの工房は、強力なホンダエンジンのための新しいフレームを納品しました。その直後、ヘイルウッドはリミニで開催されたモトテンポラーダ・ロマニャーラで優勝を果たし、その過程でもう一人のスポーツバイク界の象徴であるジャコモ・アゴスティーニを破りました。

ステリオのロードバイクフレーム製作に対する独自のアプローチは、そのような経験と、モーターレースと航空学のバックグラウンドから生まれました。そして生涯を通じた自転車への愛が、彼を自転車の世界に向け、新しい技術と革新的な技術の開発に駆り立てました。自転車のフレームは一見シンプルな道具ですが、そのシンプルさは熟練した職人の技術や素材を複雑に理解して初めて可能になります。それには、特別なこだわりが必要です。ステリオのこだわりは、どれだけ時間がかかっても、最終的な品質にこだわり続けてきました。古典的なステルベルのフォーククラウンは、まさにその好例と言えるでしょう。もっと簡単な解決策があったかもしれませんが、それは正しい解決策とは考えませんでした。この独創性と努力の精神は、今ではもう会うことのないような熟練したメカニックである父親のアンテノーレによって、ステリオに受け継がれました。若きステリオには最高の師であり、指導者であった彼は、しばらく前に他界しましたが、彼のエネルギーと理想は、今日のステルベルのすべての製品に見られます。

LA TECNICA(技術)

スチールは、常にステルベルの最良の素材として選ばれてきました。しかし、それは伝統の継承だけではありません。近年の冶金研究により、ユーザーのニーズに合わせて手作りのロードバイクをカスタマイズする際に、紛れもない利点を提供するハイテク合金の生産が可能になったからです。私たちがコロンバスチューブを利用しているのは、彼らがこの業界において高水準だと信じているからです。ダブルバテッドとトリプルバテッドのチューブを提供し、ニーズに合わせてチューブをカスタマイズすることもできます。

新しいフレームでは、ステリオの美学と独自の手法を復活させながら、最新の技術研究を組み合わせています。TIG溶接は、新しいステルベル製品群の中核をなしており、当社では常に測定を行いながら、フレームを1つずつ製造しています。このような細部へのこだわりにより、フレームのダイナミックな特性をユーザーに合わせて、常にバランスのとれた最高品質の製品を作るために多大な時間をかけています。クラシックシリーズのフレームには、過去のフレームの中でも、最も特徴的な要素の一つである有名なステルベルのフォーククラウンが採用されています。

当社の最新のフレームには、カーボンファイバー製のフォークを装備しています。 使用するスチールはすべて、何世代にもわたって自転車用チューブ製造の旗手であるコロンバス社のものを使用しています。サイズ、太さ、形状はすべて私たちのデザインに合わせて作られており、異なる合金から作られたトリプルバテッドチューブを使用して、反応が良く軽量なフレームを構築しています。

ハイレベルなスチールフレームを構築するには、優れた職人と作業員の専門知識が必要です。そのために、ジョバンニ、ドメニコ、マッシモ、クラウディオ、マリオ、ウォルター、ミケーレ、マルコ、そしてステルベルフレームの製造と仕上げに携わったすべての人に感謝しています。各モデルの技術的特徴は、フレームの専用ページに詳しく記載されています。

スチールは、私たちがフレーム製作を行う上で最重要となります。それはステルベルの歴史であり、ステルベルの未来にも大きな影響を与えるでしょう。しかしカーボンファイバーの可能性にも興味を持っており、完全に自社で設計・製造された独自のフォークの開発を間もなく開始する予定です。職人としての歴史を尊重しつつ、新素材を使用し、複合素材の新しいフレームを開発することで、挑戦と革新のステルベルの伝統を継続していきたいと考えています。

MISSION

ステルベルの復活は、過去に忠実であり続けるというシンプルな前提から始まりました。ブランドの最も象徴的な特徴は、新世代のフレームにインスピレーションを与え、私たちはステリオ・ベレッティが常に追い求めてきた価値観を大切にしています。常に向上心を持ち、挑戦と革新を続けていきます。私たちのフレームは、すべてイタリアの熟練した職人により1台1台手作業で造られており、ユーザーのニーズに合わせてオーダーメイドで製作されています。私たちは、ユーザーの期待に応え、ユーザーと迅速にコミュニケーションをとり、必要に応じて効率的なサポートを提供するために、多くの時間を投資しています。弊社では、可能な限り最高の製品を作ることを目標とし、その品質は製造と仕上げのプロセス全体で管理されています。弊社は、イタリアの偉大なフレームビルドの伝統に敬意を表し、かつての栄光を取り戻すための役割を果たしたと思っています。

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